あなたの住まいは大丈夫?河川のリスクと危険な立地の見抜き方!

  • 2022年1月9日
  • 2022年1月9日
  • 住宅

近年異常気象が多くなり、ゲリラ豪雨・台風などにより河川の氾濫や高潮での水害が非常に増えています。

水害が起きると河川近くの家は非常に大きな被害を受けると思います。

もちろん、その被害を覚悟の上で暮らしている方や最大限の防災をしている方もいらっしゃると思います。それが間違ってるとは言いません。

ですが中には、河川のリスクを理解しておらず家を選んだり、そこが危険な立地だともわからずに暮らしている方もいないとは言い切れません。

そこで今回は、河川近くの家のリスクと河川近くの危険な立地の見抜き方を紹介していきたいと思います。

 

床の高さは浸水リスクに対応しているか?

 

水害が起きると、「床下浸水〇軒、床上浸水〇軒」のようにニュースで報道されると思います。

床上浸水は文字通り、家が半壊や倒壊をしていない状態で、床より上に浸水したものになります。

床下浸水は床上まで浸水していないが、基礎の部分は浸水している状態のことを指します。

 

 https://issin-construction.co.jp/blog/detail/7 より

 

建築基準法では、住宅の基礎高さ30 cm 以上、床上の高さを45 ㎝ 以上と規定しています。

ただし、一般的な戸建て住宅では、外壁側の床面からの雨のうち返しやシロアリ被害の防止も考えて、基礎の高さを40 cm 以上、床の高さを50 ㎝ 以上と、規定より高く設計していることが多いです。

だからといって、50 ㎝ 以上あれば安心、満たなければ危険というわけではありません。

低地や窪地(クボチ)にある住宅と高台などにある住宅では、そもそもの浸水リスクに違いがあるからです。

 

ですので、まずは洪水ハザードマップの確認が重要になります。

50㎝ 以上の浸水リスクのある立地かどうか調べてみましょう。それを踏まえて、予測される浸水リスクに適した床の高さになっているかを判断してみましょう。

 

平地が多い下流域は浸水のリスクが高い

 

大きな河川の下流域は周辺に平らな土地が広がっていることが多く、堤防が決壊すると、かなり広範囲に浸水被害が及びます。

大規模河川の本川の下流域の多くは、氾濫に備えて堤防を整備しています。

しかし、近年は想定を超えた雨量が記録されるケースも多く、支川から本川に一気に流れ込むと、決壊を招く恐れが出てきます。

こうした規模の水害になってしまうと、戸建てにしても、マンションにしても、建物自体の災害対策だけではやはり限界があります。

これから住まいを購入する人は、先ほども述べたようにハザードマップなどで地形を確認したり、過去の災害歴などもよく確認する必要があると思います。

 

傾斜が急な河川は要注意!

 

車や建物が簡単に押し流されてしまうような洪水は、どのような場所で起きやすいと皆さんは考えますか?

 

物体が水中で受ける力は「流速の二乗×水深」となります。

つまり、水深の深い急勾配な川が洪水を起こすと、被害が大きくなりやすいということになります。

加えて、水深に応じて浮力も大きくなるため、一般に水深2 m、流速2m以上になると、木造住宅が流される危険性が出てきます。

 

 

このような激しい洪水は、山間地などに当たる盆地や扇状地などに多く発生します。

山間地は地面の勾配が急なうえに、川の両岸が山に囲まれて川幅を広げることができないため、上流域に雨が降ると一気に谷底などに水が流れ込み、激しい洪水を起こしやすいのです。

また、上流で土石流や山崩れなどが発生すると、土砂や倒木なども家に流れ込み、被害は一層拡大します。

 

特に急流河川の洪水で気をつけたいのは、到達時間の短さです。

流れが速いぶん、予測が難しく、安全な避難体勢の確保が困難になります。

人は、水深が0.5 m(大人の膝)程度で、流速が毎秒0.7m程度でも安全な避難は困難になってしまいます。

 

国土交通省「ハザードマップ作成の手引き(改訂版)」 より

 

また、流れのエネルギーも大きいので、堤防が侵食されると短時間で破堤されるだけでなく、破堤幅も広くなりがちなので、余計に被害が拡大してしまいます。

平野部でも、狭い谷間が開けた地点や、急勾配の河川が流れ込んでくる出口部分では、同様の洪水が発生する可能性があります。

そのため、こうした立地の建物は、極力購入を避けたい立地になります。

 

堤防が未整備の河川は要注意!

 

正直に話しますが、災害リスクの観点からすると、川の近くの住まいはオススメできませんが…それでも購入を希望する場合は、少なくとも、注意していただきたい点があります。

 

一つは川底よりも土地が高い住まいを選ぶこと。土地の高さに差がある程、氾濫のリスクは下がります。

また、堤防の整備状況も重要になります。国のデータによれば、2020年3月末時点で、全国の一級河川109本の堤防の整備率は平均68.6%となっていて、約3割が堤防の高さや幅が不足しているというのが現状になります。

そのため、川の近くに住む場合は川底よりも高低差があり、堤防の整備が必ず行われている地域を選びましょう。

 

川の合流点は非常に危険!

 

たとえ堤防が整備されていても、役目を果たしていないケースもあります…

特に危険なのが本流と支流の合流点になります。ここで合流点が非常に決壊しやすい場所になります。

なぜ合流点で決壊しやすいかと言うと、二つのパターンが存在します。

一つは、支流から想定以上の水量が本流に流れ込み、本流が増水して決壊するケースになります。

もう一つは本流の水位上昇によって支流が本流に流れ込めず、逆流して決壊するケースになります。この逆流するケースを「バックウォーター現象」と呼びます。

 

https://www.tokyo-np.co.jp/article/19115 より

 

このように川の合流点では堤防決壊のリスクが高いうえに、決壊すると周囲が堤防で囲まれていることから、溢れ出した水の逃げ場がありません。

そのため浸水深が深くなり、排水にも時間がかかってしまいます。

ですので、基本的には合流点付近の住まいは購入を避けるべきだと考えます。

 

天井川近くの住まいは出来れば購入を控える

 

川底が周辺の土地よりも高くなっている川を天井川と呼びます。

 

https://www.giken.com/ja/land_collapse/chapter02/ より

 

基本的に普段の危険性は高くありませんが、川底が周辺の土地の高さよりも上に位置するため、一度堤防が決壊すると、川の水が周辺に猛烈な勢いで流れ出し、建物や自動車が流されるような甚大な被害を招く恐れがあります。

川の水が猛烈な勢いで流れ出すので、迅速な避難が求められることに加え、排水にも時間がかかり、避難生活が長期化する可能性があります。

 

まとめ

水害は一度起きてしまうと、元の家に復旧するためには非常に長い時間がかかってしまいます。

そのため、住まいの購入を検討している方は、その立地を理解し本当にそこは安全なのかを必ず考えてみることが重要になります。

また、河川近くに住んでいる方は、今一度ハザードマップなどを確認し実際に水害が起きた際、迅速な避難と安全確保ができるように前もって準備しておくようにしましょう。

もちろん、災害リスクが全くないと言う条件は不可能ですから、できるだけ少ない地域を選ぶか、もしくは災害リスクに備えた物件を選ぶというのが良いのではないかと私は考えます。

最新情報をチェックしよう!