木造の家は地震や火事に弱いはウソ!多くの人が勘違いしている木造住宅の仕組み

  • 2021年9月30日
  • 2021年9月30日
  • 住宅

私は以前、ランバー材の営業していましたが木造の家は非常に温かみがあり居心地のいい家だと私は考えます。木造の家は素晴らしいところはたくさんあります。ですが人によっては、「でも、よいところばかりじゃないでしょう?」と考える方もいると思います。

特に、日本は地震が多い国です。二次災害で地震からの火災も多くあります。

「木造住宅は地震や火事に弱い…」と思っておられる方も多いと思います。実はそれは大きな誤解です。

今回は、多くの人が勘違いしている地震や火事に対する木造住宅の仕組みについて簡単に紹介していきたいと思います。

 

地震で家が倒れる仕組み

みなさんは、地震で倒壊した住宅の映像を目にしたことがあると思います。家がグチャっとペチャンコにつぶれている状態。

あれを見て、「木造の家は地震が来ると割り箸が折れるように柱が折れる」と早合点している人が多いようですが、そうではありません。

 

「接合部」が外れるから壊れる

実は、倒壊する家の多くは、柱や梁が折れる前に柱と梁をつないでいる接合部が外れ、それぞれの材料がバラバラになって壊れてしまいます。

「破壊」「倒壊」というよりは「分解」というイメージに近いと思います。

 

https://diy-ie.com/ch-tugite.html より

 

皆さんも耳にしたことがあると思いますが、「継手」「仕口」などがそれにあたります。もちろんこれだけが原因ではありませんが、地震の揺れ方によっては外れてしまう可能性もゼロではありません。

 

「壁」が足りない

もう一つ、壊れやすい家に共通しているのは「壁が少ない」ということです。

ここでいう壁とは「筋交い」「筋違い」が入っている壁のことを言います。

柱と梁で囲まれた四角の中にバッテンに入れた「筋かい」は、地震の揺れに踏ん張って耐える役割を果たしています。

 

a=梁 b=柱 c=筋かい d=土台 e=基礎

 

こうした壁は「耐力壁」と一般的に呼ばれています。最近では、「筋かい」の代わりに強度の高い構造用合板を張って「耐力壁」にする方法も増えています。

 

木造住宅の地震に強い!

以前などにも少し話に上がりましたが、1981年に法律で決められた最新の耐震基準を守って建てていれば、基本的には問題はありません。

その後に続いて大きな地震の経験から、いくつかのルールも追加されています。

古い建物でも、決められたルールに従って補強工事・耐震工事をすれば、耐震性能もあげて安心・安全な建物にすることができます。

また、木は鉄やコンクリートに比べて軽い材料ですが、その割に強度があるので、地震の衝撃に対してむしろ有利になることがあります。

木の家だって相当強い 

 

木の家は、先ほども話したように接合部が外れやすかったり、耐力壁が少なかったりすると壊れやすくなります。

実は昔の家はこのような建築が多かった傾向にあります。ですが、今時の木造住宅は、こうした弱点を完全にカバーする方法で作られているので、非常に安心と言えます。

 

接合部は「金物」でしっかり留めている

外れやすい接合部は、金物でしっかり留めておけば地震で揺らされても外れることはありません。

今の木造住宅は、柱と梁、柱と土台など、外れると困る接合部は必ず金物でがっちり止められています。

https://daidohant.com/ より

 

耐力壁には正しい入れ方がある

耐力壁は正しい方法で入れる必要があります。

「必要な量」を「バランスよく」入れるのが耐力壁の正しい形になります。今は、正しく入れる方法厳密に計算して求めるよう法律で定められているので基本的には安心です。

木造住宅は火災に強い?

木造住宅は、ルールさえ守れば地震に対しても強くなることは分かっていただけたかと思います。そうしたら次は、「火災は大丈夫なのか?」と考えた人も多いと思います。

確かに木はよく燃えます…しかし、といって火災に弱いと考えるのは大きな誤解です。

建物で一番重要なのは「人の命を守る性能」になります!

 

ひとくちに火災と言っても、建物の燃え方は二通りあります。

一つは「建物内部のモノが燃える」、二つ目は「建物自体が燃える」です。

最初に燃えるのは「建物内部のモノ」で、そこから徐々に燃え広がって「建物自体」が燃え始めるのです。

 

そもそも火災では、炎が燃える前の避難と消火が最重要になります。

建物自体が燃える前に、安全な場所に避難できることが先決になります。これに関しては、鉄骨構造や鉄筋コンクリート造と木造の建物条件はさほど変わりません。

そこのところは、は理解しておくことが重要になります。

 

火災になっても燃え広がりにくい木造住宅とは?

火事になっても燃え広がりにくい家をつくることで、万が一火事になっても周りの家に迷惑をかける心配はグッと減ると思います。今回は燃えにくい木造住宅にするための簡単なアドバイスをしたいと思います。

 

比重が高い=着火しにくい

基本的に木は比重が高いほど着火しにくくなります。針葉樹ならスギよりもヒノキ、ヒノキよりもマツの方が比重が高いので、材料選びの際はこの辺りを加味すれば良いかもしれません。

 

ちなみに余談ですが、例えばスギの木であれば、1分間に0.8~1㎜程度しか燃えません。

実際木はみなさんが持っているほど燃えやすい材料ではないのです。

 

木材のサイズの目安

明確に決まっているわけではありませんが、柱の太さは120×120㎜以上、梁の幅は120㎜以上、仕上げに使う板の厚さは15㎜以上にしておくと、万が一の火災でも周りに迷惑をかけにくくなります。

 

お隣の窓に注意!

隣の家のキッチンから火災が発生した場合、キッチンの向かいに窓がある「もらい火」の危険性が高まります。

逆にこちらの火が燃え可能性も上がりますので、窓の位置と素材には注意が必要です。

 

消火器は準備しておく

当然といえば当然ですが、消火器置いておくといざという時も安心です。特に火を使う、キッチンや作業場などは準備しておくと良いと思います。

 

燃えにくい木材【難燃・不燃木材】

最近では燃えにくい木材も木造住宅で使用されることも増えてきています。この材料を防火材料と言います。防火材料とは、国土交通省によって認められた材料のことで、建築基準法で以下のように基準が定められています。

 

1、燃焼しないものであること
2、防火上有害な変形、溶融、亀裂、その他の損傷を生じないものであること
3、避難上有害な煙またはガスが発生しないものであること

建築基準法施工例代108条の2より

 

この規定は掘り返すと、非常に説明が長くなってしまうので割愛させていただきます。木材で基本的に多い難燃木材は、木に薬剤を染み込ませ、燃えにくくするいわゆる薬漬けの木材が多いです。

少々値段が張ってしまいますが、性能は確かなので一つの選択肢としても良いと思います。一つ注意して欲しいのは、木材から薬が抜けないようなメンテナンスが必要になることも視野に入れといてください。

 

まとめ

みなさんが想像しているよりも木造住宅は災害に弱いわけではありません。

正直に言ってしまえば、あまり大きな建物ではなければ、「鉄骨造や鉄筋コンクリート造よりも強い」と言い切れます。

たとえ大きな災害でも、住宅のルールを守れば木造住宅でも被害を最小限に抑えることができます。そのため、少しでも災害についての意識を高めて安心・安全の木造住宅をつくりあげると素晴らしい住宅になると思います。

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