リフォームという言葉を聞いて、皆様何をイメージしますか?
家が綺麗になる、使い勝手がよくなる、最新の設備が整う…など、様々な理由があると思います。
もちろん、美しく使い勝手を良くするリフォームは大事ですが、リフォームにおいて一番重要なのは「やらなければいけない修繕=メンテナンス」になります。
家にも寿命はあります。家のメンテナンスをやらずに表面だけを美しくしても、次々に不具合に見舞われる事態に陥ってしまいます。
そこで今回は、メンテナンスとして必ずやらなければいけないリフォームを簡単に紹介していきたいと思います。もちろん、「必ずやらなければならない」とありますが、家の寿命を伸ばすためにということを前提条件でおいて頂けると幸いです。
やらなければならないリフォームとは
まずはじめに、家の絶対寿命について考えてみましょう。そもそも家が壊れてしまっては絶対的に住めなくなってしまいます。
まず家の絶対寿命はどうやって決まるかと言うと、基本的には構造体である柱や梁などがしっかりと強度を保っていることが条件になります。
柱や梁に使われている木材の寿命は、100年から1000年程度は保つといわれるほど非常に長持ちな材料になります。
ですが、そんな強靭な木材には弱点があります。雨漏りやシロアリです。雨漏りなどで、木が腐ってしまい、腐った木材はシロアリの大好物ですので、家の寿命を著しく低くしてしまいます。
つまり、構造体を雨から守る屋根や外壁などの外装バリアが機能しなくなることは、木造住宅にとって死に至る病にもなり得るのです。
これらの家の絶対寿命伸ばすために実施するメンテナンスは、やらなければ住めなくなるという意味で「やらなければいけないリフォーム」に位置づけられます。
屋根のリフォーム
雨から家を守る1番の主役は屋根になります。
重要な屋根ですが、家を構成するパーツの中では最も過酷な環境に置かれています。雨も紫外線も空から降り注いでいますし、真夏には直射日光により屋根の表面温度は60°以上に上がることもあります。
ですから、屋根材には耐久性の高い材料として、和瓦、スレート、金属などが使われています。
では屋根の寿命を考えるためには、まずは屋根がどうやって雨漏りを防いでいるのか、その仕組みを考えてみましょう。
https://diyhome.co.jp/15768/ より
上の図のように、屋根は瓦などの仕上げ材から万が一水が漏れてしまっても、その下のルーフィングと呼ばれる防水シートがブロックし、雨漏りは発生しない二重の防水構造になっています。
つまり屋根の寿命は表面に見えている屋根材だけを考えるだけでは足りなくて、下地のルーフィングについても一緒に考えなければなりません。
実はこのルーフィングが20年程度で劣化し、防水機能を失ってしまうのです。
では、20年経ったら雨漏りが始まるのか?
と言うと、もちろんそう単純な話ではありません。下地のルーフィングはあくまで「万が一の防水層」であって、表面の屋根材が正常に機能していれば雨漏りは発生しません。そこのところは、注意が必要です。
外壁リフォーム
外壁は屋根と違い、必ず雨に濡れるとは限りません。当然、雨がかからなければ外壁からの雨漏りは生じません。
つまり外壁から雨漏りが発生するかどうかは、雨の当たり具合、具体的には雨を防ぐ屋根の形状に大きく左右されます。「片流れ屋根」や「軒ゼロ」などの家は外壁に雨が入りやすいので注意が必要です。
https://machiyane-okayama.com/katanagareyane より
雨があまりかからない外壁では、それほど寿命を気にしなくても外壁から雨漏りに悩まされる可能性は低くなります。そこで外壁のメンテナンスを考える際は、外壁への雨のかかりやすさに応じて、適切な計画を立てていくことが重要になります。
外壁の仕様は「モルタル+塗装」か「サイディング」が8割以上を占めています。今回は詳しい説明は省きますが、自分の家にあった仕様を必ず選ぶようにしましょう。
バルコニーのリフォーム
バルコニーも重要になります。バルコニーといっても、昔ながらのアルミ製バルコニーは建物の外部に後付されており、構造が別のものなのでここでは関係がありません。
メンテナンスが必要なバルコニーとは、手すり壁が外壁と同じ素材の、建物と一体で作られているものになります。
バルコニーの床は、その下の構造材にとっては屋根となっているため、水を漏らさないようしっかりと防水処理を行うことが重要です。
そこで、木造住宅では FRP(繊維強化プラスチック)という防水材が多く使われています。FRP はボードなどの船体などにも使われている材質で、現場の形状に合わせて継ぎ目のない防水層を作ることができるため、優れた防水性能が認められています。
この FRP は樹脂のため紫外線による劣化が弱点で、トップコートと呼ばれる塗膜によって紫外線から保護されています。
トップコートは10年ごとに塗替え、FRP 本体は20年から30年程度で交換というのが一般的なメンテナンスサイクルになります。
水道管に注意
少々、今までの構造体に関わる寿命の話とは変わりますが、家の中で寿命を迎えるのが最も怖いものがあります。それは水道管です。
昔の水道管は鋼管と言って鉄が使われているため、放っておくと管の中が錆び、何れ水漏れ事故を起こしてしまう可能性があります。
一般的には、「硬質塩化ビニルライニング鋼管」と言って、鋼管に水が触れて錆びないよう管の内部にビニルの膜を張ったものが使われていますが、現場で管をつなぐ継手部分などが弱点となりやすく、内部が腐食してしまうのです。
水道用硬質塩化ビニルライニング鋼管の耐用年数は、「WSP日本水道鋼管協会」より、耐用年数は40年とされていますが、実際には継手部分などからの漏水事故は、早ければ30年程度でも起こる可能性があります。
そんな鋼管に取って代わり、2000年代からは樹脂管が主流となりました。樹脂ですから錆びる心配もなく、管自体が曲がるために継手を大幅に減らすことができます。
樹脂と言うと人によっては耐久性が心配なところですが、現在、樹脂としての主流となっている架橋ポリエチレン管の耐用年数は、30年以上とされています。
他の管と比べるとやや割高になりますが、トラブルの少なさや寿命の長さから人気の高い管です。
鋼管の漏水リスクにおびえながら対応年数ギリギリで使うより、いずれ交換しなければならないなら早めに全ての水道管を樹脂化に交換してしまった方が、それ以降ずっと安心して暮らすことができます。
「自宅の水道管が鋼管と樹脂管のどちらかわからない」という方は、一度台所か洗面所にある床下の点検口を開けて覗いてみてください。
床下に水色と赤(ピンクやオレンジもある)の緩やかに曲がる管が見えれば、すでに樹脂管が使われているということです。
ちなみに、水色が水、赤色がお湯の管です。もし金属の管しか見えなければ水道管は鋼管の可能性が高いので、樹脂管への配管更新を検討すると良いでしょう。
まとめ
家は時が経てば経つほど、劣化していきます。それは仕方のないことです。
もちろん、見た目や設備を新しくするリフォームも重要ですが、メンテナンスを必ず視野に入れて、リフォームを行うとより住みやすい家になると思います。
限界まで使ってしまうと重大な被害につながる場合があるので、適切に延命・交換を行なっていきましょう。