新型コロナウイルス感染症により世界中が翻弄され、既に1年以上、先の見えない戦いが続いています。日本も近年稀に見る経済的なダメージを大きく受けています。特に、経済的に不安定なフリーランス、個人事業主、小規模事業者やパート、アルバイトなどの非正規雇用の労働者は、非常に大きな負担がかかってると思います。
ですが、どんな状況であれ生活はしなければなりません。「今更コロナに負けるわけにはいきません!」
しかし、以前のように、全国民が一律でもらえる給付金や全国の事業所に行きわたるような幅広い支援策は現在のところ難しい状況でしょう。ですが、事業面や生活面を支えてくれる支援策はまだまだあります。
そこで今回は、子育てや生活全般に使える支援金制度の一部を簡単に紹介していきたいと思います。
緊急小口資金の特例貸付
この制度は、新型コロナウイルス感染症の影響で、一時的に収入が減り、緊急に生活費が必要な人に、お金を貸してくれる制度になります。
緊急小口資金の特別貸付は厚生労働省の生活支援特設ホームページで詳しく確認することが可能です。
本来は10万円までですが、次の6つの要件のいずれかに当てはまる人は、貸付上限が20万円になる可能性があります。
- 世帯の中に感染者がいる場合
- 世帯に要介護者がいる場合
- 世帯人数が4人以上の場合
- コロナに感染した恐れのある小学校などに通う子の世話で仕事ができなくなった場合
- 臨時休業した学校に通う子の世話で仕事ができなくなった場合
- 休業などによる収入の減少などで生活費用の貸付が必要な場合
すでに緊急小口資金の特別貸付を受けてる人で、まだ返済が始まってない場合は、返済を猶予する措置期間が2022年3月まで延長になりました。これにより返済は2022年4月から開始することになります。
なお、返済期限が来ても、収入減少が続く住民税非課税世帯については、返済が免除される場合があります。
住居確保給付金
生活が苦しく家賃が払えなくなった人に代わって、市区町村ごとに定めた金額(生活保護制度の住宅扶助額)を上限に、家賃を大家さんに直接支払ってもらえる制度になります。
支給期間は原則3ヶ月ですが、最大9ヶ月まで延長可能です。また、2020年度中に新規申請をして受給を開始した人は、再支給申請をすると、最長12ヶ月まで支給が延長されます。
再支給申請ができるのは、次の二つの要件を満たす人になります。
- 世帯の預金合計額が支給上限額の3ヶ月分を超えていないこと(ただし、50万円を超えないこと)
- ハローワークで求職申し込み、職業相談、企業への応募、面接などの求職活動を行っていること
申し込み希望者は、お住まいの地域の自立相談支援機関に相談ををすることをオススメします。
子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親以外世帯分)
この制度は、新型コロナウイルス感染症による影響の長期化により、食費などの支出が増加している傾向を勘案して、設けられたものになります。
金額はひとり親世帯と同じく子供一人につき5万円になります。
給付対象が住民税非課税世帯などとされているため、2021年度の住民税の申告が必要になります。前年に収入がなかったために確定申告をしなかった世帯などは、住民税未申告扱いで給付がスムーズに受けられない可能性があるので注意が必要です。
また、この給付金は、手続きが不要の世帯と必要な世帯があります。2021年4月分の児童手当等の受給者で住民税非課税世帯は、マイナンバーと預金口座の紐付けにより、原則として申請手続きが不要になります。一方、子供が高校生のみの世帯や、収入が急変した世帯は申請手続きが必要になります。
子育て世帯生活支援特別給付金(ひとり親世帯分)
母子家庭や父子家庭などのひとり親世帯は、パートやアルバイトなど非正規で働く人が多く、コロナ不況で収入減少に苦しむ層が広がっていると言われています。
そこで、児童扶養手当の対象世帯だけでなく、家計急変により低所得になったひとり親世帯などにも、子供一人につき5万円を支給する特別給付金が始まりました。
支給対象者のうち、2021年4月分の児童扶養手当を受給した人は、手続きが不要になります。順次お住まいの市区町村から受取口座に給付金が振り込まれます。
一方、公的年金等を受給しているために、2021年4月の児童扶養手当の支給を受けていない人や、コロナの影響で家計が急変し、収入が児童扶養手当受給世帯と同程度の水準になっている人については、申請手続き必要になります。
申請方法や申請期限などについては、お住まいの市区町村により異なるので必ず確認をしましょう。
高等学校等就学支援金
想定外の失業や休業で収入が減ると、生活費だけでなく、子供の教育費をどう工面するか、悩んでいる家庭も多いと思います。
高校生以上になると、公立でも授業料や教材費などがそれなりにかかってしまいます。ましてや、私立の学校に通ってるとなれば、公立以上に費用がかかってしまいます。しかし、家計が苦しいからといって、学費を払わないわけにはいきません。
そこで活用したいのが、「文部科学省 高校生等への修学支援」が行っている高等学校等就学支援金制度になります。これは、返還不要の授業料支援金になります。
年収が一定以上の世帯であれば、公立高校は、年間一律11万8800 円。私立高校の場合は、年収によって年間11万8800~39万6000円が支給されます。通信制私立高校(年間上限29万7000円)や国立国公立の高等専門学校の1~3年生(年間上限23万4600円)なども対象になります。
上限まで支給される年収の目安は、世帯構成によって変わります。下の図は文部科学省での世帯構成別の年収目安を表した表になります。
制度を利用するには、申し込みが必要になります。新入生の場合は、入学時に学校から手続きの案内があります。在校生の場合は、収入状況の届出を行う7月頃に学校から案内があるので、手続きを行なってください。
また、コロナの影響で失業、倒産、減収などで家計が急変した世帯は、各都道府県の授業料軽減の支援もあわせて利用できるほか、年度途中でも随時申請を受け付けている学校もあります。諦めずに、学校やお住まいの都道府県に問い合わせてみましょう。
高校生等奨学給付金
高校生等奨学給付金は、授業料以外の教科書費、教材費などの教育費を支援する返還不要の給付金になります。先ほど紹介した授業料を支援する高等学校等就学支援金と併せて活用することができます。
給付の対象になるのは、年収約270万円未満の住民税非課税世帯と生活保護世帯、そしてコロナの影響で、家計が急変し収入が非課税相当になった世帯になります。基本的に給付額は、学校の種類や子供の人数により異なります。
家計急変世帯の申し込みは、7月から開始されます。7月以降に急変した場合も随時申し込みが可能です。その場合、給付額は月割計算となります。給付金は、保護者の口座に直接振り込まれます。
ただし、未納の学校徴収金がある場合は、充当委任状提出すると、子供が在籍する学校に振り込まれ、学校徴収金に充当されます。
生活保護制度
貯えも底をつき、あらゆる努力をしてもなかなか仕事も見つからず、生活に困り果てた時は、ためらわずに生活保護を申請しましょう。
生活保護は、申請時の審査で親族に生活の援助が出来ないかどうかを確認する「扶養照会」があります。これがネックとなり、家族に知られたくない人が申請をしないケースが問題になっています。
コロナにより、生活困窮者が増える中、厚生労働省は、親族照会をこばむ申請者の意向を尊重するよう求める通知を自治体の福祉事務所に出しています。これにより、同居していない親族に知られることなく生活保護を受給できる場合もあります。
また、生活保護の要件として「利用し得る資産は活用すること」とされていますが、住居用の持ち家や通勤用の自動車、自営業の為に必要な店舗、器機などは処分することなく、保護を受けられる場合があります。
さらに、「働く能力がある人はその能力を活用する」という要件についても、コロナで仕事が見つからない人については、一旦保留のまま保護を受けられる場合があります。
生活福祉資金
生活福祉資金貸付制度はコロナとは関係なく、随時申し込めるものなので、今後のためにも知っておいた方がいいと思います。
生活福祉資金は、主に所得の少ない世帯、障害者や介護が必要な高齢者のいる世帯を支援することを目的としています。支援対象は、あくまで世帯なので、個人に対する貸付ではありません。
そのため、申請時には、申請者本人の状況だけでなく、世帯全員の就労、疾病、収入や家計の支出、負債の状況などを可能な限り明らかにする必要があります。
また、特例貸付と異なる点は、世帯がこれまでも今後も生計が維持でき、返済の見通しが立つことが貸付要件となっていることです。生活費は各世帯できちんと確保した上で、使用用途と返済計画がはっきりした資金を借りることになります。
生活福祉資金には、4つの種類があります。
- 総合支援資金
- 福祉資金
- 教育支援資金
- 不動産担保型生活資金
各資金は、使い道によって貸付限度額、返済期限が細かく決められています。借入を希望する場合は、事前に全国社会福祉協議会やお住まいの都道府県の社会福祉協議会に相談しましょう。
まとめ
2021年8月現在を考えると、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置はこれからも続くと考えられます。
「自分がもらえる給付金はもうない…」と諦めないでください。
失業や生活困窮から立ち直るチャンスはまだあります。今回紹介した支援金制度はごく一部のものになります。このような、自分の条件に合った支援策を取りこぼさなければ、立ち直るチャンスはあります。
もうダメだと諦めるのではなく、今一度支援策の情報を確認し、自分が使える支援策を一つでも多く見つけ、この厳しい状況を乗り越えていきましょう。