皆さんは、何のために家を作りますか?家づくりは、建てることが目的ではありません。そこで末永く幸せに暮らせて初めて成功と言えます。
ですが、皆さんにとって「幸せな家」の定義は何でしょうか?
間取り、デザイン、性能…。定義は人それぞれ無限の選択肢があります。そこで今回は、まずは誰もが家をつくるためのベースの考え方を5つ紹介していきたいと思います。
今回は、一級建築士 YouTuber、金谷尚大さんのYouTube チャンネル「げげ」と「後悔しない家づくりのすべて」を引用しております。
1、全てを満たす家は存在しない!
いきなり厳しい話になってしまいますが、見出しの通り、「全てを満たす家」は存在しません。
これは、「仕事選び」とよく似ています。給料、仕事内容、勤務地、勤務時間、人間関係…。全ての理想通りの仕事が見つかれば最高ですが、仮に見つかっても、その職場に選ばれるというハードルは限りなく高いかもしれません。
仕事選びにあたり、多くの人は「完璧」を求めず、優先順位を付けて検討するのではないでしょうか。
家づくりでも、その感覚を持つことが大切です。完璧を求めずにどうやって幸せになれる家を建てるのかと考える人がいると思います。

建築にあたり、三角形といえる要素が「性能」「デザイン」「コスト」になります。そのどれを優先し、どこをある程度譲るか。バランスを見ながら、最適解を探していくのが、いい家づくりの秘訣になります。
あらゆる要望を満たす完璧な家という幻を目指すより、「自分にぴったりの、居心地のいい家」を建てることをオススメします。
2、「ほしい家より」、「ほしい暮らし」
「どんな家をつくりたいですか?」設計者からそう聞かれた際、多くの人は、「間取り」「部屋数」などを答えると思います。3 LDK がいい、吹き抜けが欲しい、子供部屋が欲しい…などの要求があると思います。
確かに具体的な要件を出すのも必要ですが、いきなりそこからスタートすると、家が建った後に、使わない部屋や空間ができがちです。
これは、「注文住宅設備オプション設置した場合のメリット・デメリット紹介!」でも話しましたが、たくさん設置すればいいというものではありません。
生活に必要ない不幸な空間は、家を「実際にどのように使うか」が想定できていないことで生まれてしまいます。
そのため、まず考えるべきことは、「どんなふうに暮らしていきたいか」になります。

たとえば、趣味を楽しみたい、家族団欒を大切にしたい、家事を快適に行いたい、庭をのんびり眺めたい…
自分がその家でどんな暮らしをしたいのかを事前にイメージしておき、それに合わせて間取りや部屋数、デザイン、外観と言った様子を組み立てていくのが、幸せな家を作るための最短ルートだと思います。
「欲しい暮らしこそ、家づくりの設計図」これ覚えておきましょう。
3、間取りで家のすべてが決まる
幸せに暮らせる家をつくるために重要なのが、「間取り」になります。
間取りの決定は、部屋の数や配置といった表面だけの話ではありません。間取りは家の構造とイコールであり、柱の数や壁の位置が家のあらゆる性能に影響を及ぼします。
たとえば、凹凸のある間取りほど熱が逃げやすくなり、空調コストがかさみがちですし、吹き抜けは窓を大きくとれば、構造的には弱くなります。

デザイン優先で、合理的な位置に梁や壁を設けることができなければ、断熱性や耐震性にマイナスの影響が出てしまいます。
また、住宅の間取りは建築後では変えるのが非常に難しいです。家を建てた後に、「やっぱりこんな間取りじゃなかった」と思っても遅いです。
もちろん、皆さんの家なので、おしゃれな部屋、デザイン性を重視した家にすることが間違ってるとは言いません。ですが、デザインを重視するあまりに家の構造や快適性がおざなりになることだけは避けてください。
4、家はシンプルにつくる
多くの人が、「広い家が欲しい」と考えた時期があると思います。実は自分もその一人です。ですが、正直な話広い家よりも「シンプルでコンパクトな家」の方が幸せに暮らせると考えます。
私は以前少しだけ、ランバーの営業していました。そこで広い家でわかりやすいデメリットは広さ=コストだということが薄々と感じていました。
家を広くすれば広くするほど、もちろん使う木材は増えますし、建具や、設備などもその分使用する数が増えてコストは多くなります。
また、家を建てあとも、室温を保つエアコンなどの光熱費、設備の維持、掃除など…家を広くすることで、コストや労力が非常にかさんでしまいます。

しかし、小さい家ならば、建設費用が抑えられ、その予算を設備などの「家の性能」にまわすことができ、快適に、安心して毎日を過ごすことができます。
家の広さを、あえて家を最小限にすることで、設備や性能を上げることができ暮らしの質を上げることができます。是非、ひとつの選択肢として考えてみるといいと思います。
5、自分なりの判断基準持つ!
理想の家をつくるためには、多くの選択肢、迷いが出てくると思います。
思いの外選ぶことが多く、度重なる打ち合わせに疲れ、「もうこれでいいや…」「何が正しいのか分からない…」などの考えに陥る人も少なくありません。
そのようなことを避けるためにも、あらかじめ自分なりの判断基準を持っておくことが重要になります。判断基準があれば、それに基づいて迷わず判断できる項目が増えます。

「自分なりの判断基準」と言われても、すぐには出てこない人も多いと思います。そこで重要になってくるのが、「どんな暮らしがほしいのか」が全ての始まりです。
過去(これまでの住まい・実家)を振り返り、心の底に眠る「家への思い」を知ることで、「幸せなマイホーム」への第一歩を見つけることができます。
たとえば、「小さな頃、自然豊かな場所で育ったから、広い庭が欲しい」など小さな事でもいいんです。
「よそと比較するのではなく、自分と向き合って、ほしい暮らしを導く」ことで、自らが大切にすべきつくりの軸が見えてくると思います。
まとめ
家は一生で一度にない大きな買い物になります。それをなんとなくで買うのは、一生後悔します。
家づくりは全て最高水準でつくることは、コスト面から考えても難しいです。「幸せなマイホーム」を目指すために「自分なりの判断基準を持ち、ここだけは譲れない」というこだわりの部分をあらかじめ決めることを意識しましょう。