リフォームの打ち合わせを始めるにあたり最も大切なことは、「要望を伝える」ということになります。リフォームは新築と違い、施工範囲も工事内容も予算も、全てが自由に設定できます。
ですので、まずあなたがどうしたいかを伝えなければ、先方も身動きが取れません。
今回は、リフォームを依頼する際に必ず伝えるべきことを6つ紹介していきたいと思います。最低限これだけは押さえておけば、リフォームで大失敗という状況は起きないと思います。
予算の絶対額を伝える
一番大事なのは、どこまでお金をかけられるかだと思います。部分的なリフォームなら、今後の修繕にかかる費用も踏まえたうえで、今回のリフォームにかけられる予算の限度額を設定します。
もし、全体のフルリフォームを行うのであれば、建て替えた場合の費用を基準に絶対額の上限を決めるのも良いと思います。
その場合は、建て替えも選択肢にあることを同時に伝えておけば、予算が収まらない場合の判断を速やかに行うことが出来ます。
時々「予算を多めに言うと足元を見られると思って…」と、少なめに言う方もお見掛けしますが、予算はできるだけ正しい情報をお伝えすることをお勧めします。
多少の予備費を見込んでおくのは良いと思いますが、あまり過少に伝えてしまうと、提案自体が縮小してしまい、意に沿わないプランになってしまう可能性があるからです。
「足元を見られる」ことが絶対に無いとは言いませんが、そういう状況を散見するのは、いわゆる「一見さん」として継続的なお付き合いを双方が期待していない場合です。
こちらの条件を正直いうのも、信頼関係のスタートになります。信頼関係が築ける相手なら、予算の範囲内で出来る限りベストな選択肢を探してくれると思います。
リフォーム後の暮らし方・工事内容
これは漠然としたイメージではなく、具体的に工事に関わる内容を伝えます。
- どこまで綺麗にしたいか(設備機器、床、壁、天井、建具、施工範囲など)
- 改善したい箇所はあるか(断熱性能、耐震性能、間取り、収納、バリアフリーなど)
- メンテナンスに求める耐久性(外壁の耐用年数など)
どこまで綺麗にしたいか?
どこまで綺麗にしたいか、というのは、ズバリ何をどこまで工事するのかという工事範囲を示します。これは一つ一つを指示しなくても、「見えるところは全て新品にしたい」「範囲は1階だけ」「2階の子ども部屋は使わないから何もしない」などの漠然とした表現でも大丈夫です。
これだけ言えば、相手から「段階はどうしましょうか?上から重ねて張る方法もありますよ」などと会話のキャッチボールが始まり、どんどん内容が具体的になっていきます。
改善したい箇所
改善したい箇所とは、今の生活で不満に思っている部分のことです。断熱性能や耐震性能を引き上げるのも予算に大きく影響することですから、最初にしっかり伝えておかなければなりません。
間取りや収納計画などを変更が大きいほど費用もかかります。費用を抑えながらも使い勝手を良くする方法があるかなど、プロのアドバイスを受けながら、ここは打ち合わせの中心としてしっかり煮詰めたいところです。
また、バリアフリーにしたいと伝えておけば、床の工事のついでに段差を解消したり、建具を交換するときに開口を広げてくれたりと、細かな配慮を得られたりします。
いざ打ち合わせが始まるとどんどん話が進んでしまいますから、今のうちから、日頃感じている不便、不満、不自由などを書き出しておくと良いと思います。
メンテナンスに求める耐久性
メンテナンスに求める耐久性も忘れてはいけません。今回どのようなメンテナンスを行うかで、次回のメンテナンスまでの期間が決まります。
このメンテナンス内容がリフォームの予算にも大きく影響すると考えて良いと思います。例えば、最低限の外壁塗装しかやらなければ、費用は100万円で収まるかもしれませんが、また10年後に足場をかけてメンテナンスしなければなりませんし、いつか屋根の葺き替えをしなければとモヤモヤしながら暮らすことになります。
もし、今回屋根も外壁も下地から新しくし、30年後まで足場をかけるようなメンテナンスを行わずに済みます。高齢になるほどリフォーム工事も負担になってきますから、ご自身の年齢も考慮し、今後のメンテナンス計画を立てて頂ければと思います。
以前に「老後に備えたい・行いたいリフォームを紹介!」しているので、こちらも是非みて下さい!
リフォームで妥協できるところ
全てを予算内に収められれば言うことはありませんが、要望を書きだし始めると、夢と共にどんどん膨らんでしまうのが見積金額になります。
そこで、予算をオーバーしてしまう時の調整方法として、妥協できるところがあれば伝えておきます。今回は、予算の調整がしやすい妥協できるポイントの例を紹介します。
- 設備機器(キッチン・ユニットバス・洗面化粧台・トイレ)の商品のグレードを下げる
- 壁紙のグレードを下げる
- 個室のどの内装工事の施工範囲を縮小する
設備機器の商品のグレードを下げる
設備機器は、だいたいどのメーカーも高付加価値グレード(松)、普及品グレード(竹)、量産品グレード(梅)と価格帯を分けて商品設定をしています。
定価ベースではあまり差がないように見えても、割引率で大きく差をつけている場合もあります。国内の大手メーカーであれば量産グレードでも品質に問題はありませんし、アフターサービスもしっかりしています。
特別なこだわりが無ければ検討してみる価値はあると思います。ただ、あまり聞いたことがないメーカーの商品を安いからという理由で選ぶのはオススメしません。理由としては、アフターサービスの対応が悪かったり、故障しやすかったりする場合があります。
設備機器は長く頻繁に使用するので、アフターサービスのしっかりしたメーカーの商品を選ぶ、というのは妥協したくないところです。
壁紙のグレードを下げる
壁紙でもグレードがあります。普及グレード以上にはデザイン的なものや色柄が鮮やかなものが多くあります。
ただ、好みもありますが、住宅の壁紙は一般的には白っぽい無地のものをベースに、色柄が強いものは一面だけアクセントとして入れるなどの使い方をした方が、上品に仕上がります。
ですが、白っぽい無地のものであれば、量産品グレードで十分です。ベースの無地を普及品グレードから、量産グレードに変更すると、品質や仕上がりの雰囲気を変えずにコストダウンすることが可能です。
個室のどの内装工事の施工範囲を縮小する
施工範囲を小さくする、というのも費用を抑えるには効果的になります。
例えば2階の個室を何もしない工事対象外としてしまえば、工事中のLDKの家具類を置いておく荷物置き場として使用することも出来ます。
もし、後になってやっぱり綺麗にしたいと思ったら、「その時に行えばいいと」割り切ってしまいましょう。内装工事だけならそう負担の大きな工事ではありませんし、後から行っても大して割高にもなりません。
このように、予算を調整する際には妥協できるところがあるかどうかを探すのは必要な作業ですが、妥協してはいけないところを明確にしておくことも重要です。
例えば、やらなければいけない外装メンテナンスや、やった方がいい断熱性能・耐震性能アップがそれに当たります。
これらは目に見える満足度は少ないですが、家の寿命を延ばし、安心・快適に暮らすために必要な工事になります。つい欲しいものを優先してこれらの予算を削るということにならないよう、気をつけておきたいところです。
家の基本情報・図面
新築時の設計図書(確認申請図面一式など)や、これまでのリフォーム履歴がわかる資料などが手元にあれば、一式コピーを渡すと良いでしょう。資料が詳細に残っているほど、見積りの制度が上がり、余計なコストを抑えることができると思います。
もし手元に資料が一切ないという場合、それでもリフォームを行うことはできますが、見積りはあらゆる不確定要素を想定しながら予備費を盛り込んで作られますので、資料が少ないと実際にかかる費用よりも高めの金額になってしまう場合があります。
家に関する情報は、その家が存在する限り、全て残しておくことをオススメします。
第三者チェックの利用有無
依頼先の施工業者の他に、第三者機関による診断・検査を利用する方法があります。これらのサービスを利用する場合は施工業者の協力も不可欠になりますので、早めに伝えた方がスムーズになります。
また、施工業者によっては対応できない場合もあるので、注意してください。利用したい場合は、最初の問い合わせの段階で、利用可能かどうか確認しておくと良いと思います。
デザイン的なイメージ
これは特になければ伝える必要はありませんが、こうしたいイメージがあれば、写真、絵、図などで共有しておくと打ち合わせもスムーズになります。
日頃から雑誌やホームページなどに掲載されている写真で気に入ったものを取っておくようにすると、いざという時に伝えやすいと思います。
伝えるタイミングとしては、色柄の雰囲気的な内容なら契約後の仕様の打合せ時でも間に合います。ただし、金額に影響するような内容、例えば床材は無垢材がいいなど材質を指定するような要望の場合は、最初に伝えておいた方が良いと思います。
まとめ
リフォームは自分の要望をどれだけ、業者に伝えるかが一番重要になります。今回紹介した6つのことを意識してリフォームを依頼すると良いと思います。リフォームは業者との意識疎通を最優先に考えるとスムーズになると考えます。
リフォームは全てが自由になります。だからこそ、計画的な資金とデザインを考えて、理想的なマイホームを実現して下さい。