住宅を購入する際、住宅ローンを組んで購入することが一般的だと思います。しかし、住宅ローンといっても様々な種類が存在します。
住宅ローンは、家族構成や家族の働き方などを勘案し「自分に合ったローン」にすることが将来の安心を得るポイントになるとと思います。
今回は、生活や家庭にあった住宅ローンのポイントを4つのケースで紹介していきたいと思います。
CASE1 妻が専業主婦の場合
妻が専業主婦で今後も働く予定がなく、小さい子供がいる場合は、住宅ローンは出来る限りリスクを抑えて組むことを意識するべきです。

返済額の安定を図るためには、「全期間固定金利型」を選ぶと良いでしょう。当初の金利は少々高めになりますが、将来にわたって金利が確定するため、家計の計画が立てやすくなります。
ローンを支払っている間は同じ金利で固定されるタイプになります。経済状況や社会情勢に左右されないので、返済計画が非常に立てやすいのが特徴になります。全期間固定金利型は、最初に金利が決まるので、借りるタイミングが非常に重要になります。
選択肢として、銀行ローンとフラット35になります。金利が低いところを探す手間は惜しまないようにするのがポイントです。
専業主婦家庭の方は、返済期間は、できるだけ短くするのがポイントです。基本的には、30年返済で計算してみるといいと思います。
計算の結果、毎月の返済負担が多い場合は、そこから1年ずつ返済期間を延ばし、60歳時の残高を見ながら決めていくと考えやすいと思います。
必ず子供の教育費や老後の生活資金を貯めていけるよう、貯蓄できる余力を残すことを忘れないようにしてください。
また、「現在は妻が専業主婦で、子供が成長したら妻が働く予定」という場合は、妻が仕事を始めるまではローンのリスク度の高い状態が続きます。ですので、リスクが高い間は金利を確定させられる、「10年固定」を利用するという選択肢もあります。
- 返済額の安定(安心)を取るなら全期間固定型
- 子供が成長したら妻が働く予定の場合は、10年固定も選択肢
- 返済期間をできるだけ短く。30年返済で一度試算。毎月返済額を確認し、厳しい場合は1年ずつ期間を伸ばして試算を行う。
CASE2 共働き夫婦の場合
共働きの夫婦の場合は、ローンリスク度は低めと言えるでしょう。夫婦それぞれが、収入に応じた借入額で、2本のローンを組むのがおすすめです。

妻は産休や育休、時短勤務などのあいだは給料が少なくなるのが一般的ですから、借入額は少なめにしておくといいと思います。その分、返済期間を短くすると、利息軽減効果が高まります。
夫と妻がそれぞれローンを組めば、夫のローンと妻のローンとで返済期間を別々にすることが可能です。
繰り上げ返済をする余裕があれば、借入額の少ない妻のローンの方を「期間短縮型」で集中して返済していくといいと思います。
残りの返済期間が短くなる返済方法です。毎月の返済額は変わりません。返済期間が縮まるために、短縮された期間の利息が軽減されます。同じ金額を返済しても繰り上げ返済の時期が早いほど、また金利が高いものほど、効果が大きくなります。
妻のローンを早期に完済できると、あとは夫のローン一本だけになり、家計の毎月のローン返済負担がぐっと軽くなります。子供の教育費が重くなる前に妻のローンを返し終えられると、家計をスムーズに運営していけるので、少なめに借りるのがポイントになります。
- 夫婦それぞれでローンを組む。妻の借入額を小さくし、返済期間も短くする。
- 子供の教育費がかかる時期に夫のローンのみ残るように計画すると、後に家計が楽になる。
- 繰り上げ返済をするなら、借入額が少ない妻のほうを優先する。
CASE3 シングル女性の場合
シングル女性がマンション等を購入する場合、いくつかの注意点があります。まず考えておかなくてはならないのか、今はシングルでも、将来ライフスタイルが変わる可能性があるということです。

結婚すれば、シングル女性向けのマンションに夫婦で住み続けるのは現実的ではありません。その場合、「貸す」なり「売る」なりする必要が生じます。「いざという時、貸したり売ったりできるか」を具体的に考えておくことが重要になります。
この点、借入額を抑えておくと、貸したり売ったりする場合の選択肢が広がります。ですので、頭金を多めに用意してローンを少なくすることがポイントになると思います。
また、正社員で男性と変わらない収入を得る女性が増えているとはいえ、残念ながら、一般にまだ女性の方が賃金水準が低いのが現状です。収入が減ってしまった場合、他に稼いでくれるパートナーがいないことも、リスク要因となります。
このため、安全性を重視して「繰り上げ返済をしなくても60歳で完済できるプラン」などにしておくことがおすすめになります。
返済期間を60歳までとし、ローン返済しながら老後のための貯蓄を行えるか確認してみることが大切です。もし、貯蓄が難しいなら「借り過ぎ」の金額だと考えていいと思います。
- シングルは収入源が一人なので、「借り過ぎ」は注意。
- 繰り上げ返済をしなくても「60歳までに完済できるプラン」にする。
- 結婚する可能性を考え、「貸す」「売る」ことを考え物件選びをする。
- 購入する際は、頭金は多めにローンは少なめにする。
CASE4 土地を買い、工務店で家を建てる場合
土地を買い、建築家や工務店に施工依頼して家を建てる場合、資金繰りが大変になります。銀行によっても対応が異なるので、まずは全体像を把握し、銀行の支店で相談に乗ってもらうことがおすすめになります。

資金が必要となるタイミングは「土地代金の決済」「建築費の着手金」「建築費の中間金」「建物引渡時の建築費残金」になります。
土地の購入費もローンを組む場合は、土地と建物とで2本のローンを組むことになります。建物のローンは、途中より遅れてくることになるのが一般的です。
銀行は「土地先行融資」の取り扱いがあるところを選ぶのがおすすめになります。また、建築費の着手金や中間金の支払いについては、ローンで対応可能か確認しておきましょう。
土地先行融資とは不動産融資のひとつで、家を建てる前に土地部分についてのみ先に融資を受けることができるシステムです。建物に対する融資は、建物ができた時点で追加することができます。
住宅ローンは完成後の建物に対する融資ですが、注文住宅を建てる場合はまずは土地を購入しなければなりません。そのための費用捻出に、土地先行融資は有効です。また、住宅ローン控除の対象にもなるためメリットの大きい融資制度と言えます。
建築費が予算オーバーしないように注意したいところですが、その可能性も考慮し、土地代金はローンを利用し、自己資金は建築費の着手金と中間金の支払いに充てられるよう計画を立てておくと良いと思います。
一つ注意して欲しいのは、土地代金の借入額が多いと、家が完成するまでの間、土地のローンと家賃の支払いが重なって家計の負担が重くなるので注意してください。
- 土地を購入するためにローンをくもなら「土地先行融資」を扱っている銀行を選ぶ。
- 建築費の着手金、中間金の支払いにローンで対応できるかどうか事前に銀行に確認する。
- 建築費が予算オーバーにならないように注意する。
まとめ
住宅ローンを組む場合は、必ず将来のことを視野に入れて組むことを意識しましょう。必ず将来を見据えて、安心・安全の「自分に合ったローン」を見つけていきましょう。
様々な住宅ローンのプランが増えたからこそ、一度冷静になって見つめ直すことが重要になってくると思います。老後になって後悔しないためにも、皆さん自分に合った住宅ローンを見つけてください。