中古住宅の希望の物件を見つかったがまさかの予算オーバー。
「残念だけど諦めるべきだろうか…」
いや、正式な契約を結ぶ前であれば、価格交渉を行うことは可能です。中古物件になると、売主が個人である場合が多いです。もしかしたら適正価格を把握していないか、個人的な事情で相場より高いことがあるので、もしかしたら価格交渉が可能な可能性があります。
今回は中古住宅での「値引き交渉」のポイントを紹介していきたいと思います。
購入を前提としない値引き交渉はマナー違反!
価格交渉の基本ルールは、購入を前提とし、正式な契約の前に行うということが鉄則となっています。買うか買わないか迷っている場合の交渉は、マナー違反になってしまいます。
売主や不動産仲介業者に対して失礼にあたる行為であることを理解しておきましょう。購入の意思があることを示すために、最初に書面での交渉から行うのが一般的です。
書面は不動産会社が用意した申込書に記入すれば基本的に問題はありません。購入希望価格を記入することから、値引き交渉は始まります。
売主が、交渉の最低金額を定めている場合もあるので、あらかじめその地域の不動産会社の相場を把握するなど予習も重要になります。
「交渉はしっかりと意思を持って臨みましょう」
物件のマイナス要素を把握して交渉する
価格交渉したい場合は、まず購入の申込書【買付証明書、買受申込書】を提出し、購入する意思を売主に示す必要があります。
その際、売り出し価格よりも安い金額を購入したい場合は、「購入希望価格」を記入するのがポイントになります。
しかし売主側も、高く売りたいのは間違いありません。闇雲に値下げ交渉してしまった場合、機嫌を損ねてしまい売ってもらえなくなる場合もあります。
売主も大切にしてきた自宅に対する思いもあります。そのため、お互いが納得できる要素で交渉するのが大切です。
そこで一つは、環境のリスクで交渉する方法になります。物件によっては、環境のリスクがありマイナス要素がある場合もあります。
例えば「学校の近所の場合、チャイムの騒音問題」、「墓地やゴミ処理場の近く」は印象が良いとは言えません。
環境リスクはあげたもの以外にも、様々な種類があります。このように交渉の前に、それらの環境のリスクがあるかどうか確認して価格交渉をする方法があります。
適正価格をベースに交渉する
中古の住宅は、売主が個人の場合はがほとんどであり、地域の相場より高いこともあります。レインズなどで公開されている取引事例を参考に適正価格を調べ、相場になるまで交渉をするのが良いと思います。
レインズとは不動産物件情報交換のためのコンピューターネットワークシステム。不動産業者が加入しており、膨大なデータ量があるため、この地域ごとの相場を調べることが可能です。
気に入ったところを褒める
売主にとっては、これまで住んできた愛着のある家を、できれば値引きしないで売りたいものです。それを根拠もなく何百万も値引きしろと言われれば、いい気はしません。
また、個人差はあるものの、売主は「自分の資産を譲る」だけではなく「コミュニティも譲る」という感覚を多少なりと思っています。ですので、地域のコミュニティを乱すような人には売りたくないと考えると思います。
売主に嫌われれば、個人的な感情で「あの人には売りたくない」思われてしまうこともあり得ます。反対に、気に入られれば「あの人になら安く売ってあげてもいい」となるかもしれません。
価格交渉の下準備は、売主の立会いのもとに行われる現地見学から始まっています。見学の際には、「あそこが汚い」「この設備が古い」などマイナス面を指摘するようなことは避け、プラス面を褒めるようにしてください。
もちろん、先ほど話しましたが、マイナス面があったら必ず確認しましょう。ただ、頭ごなしに否定するのではなく、プラス面があれば正直に褒めることが大切です。
褒めるのが苦手の方は、無理に褒める必要はなく、購入したくなった理由や気に入ったところを上げていれば結果的に褒めることになります。試してみてください。
急いでる物件は値下げ交渉がしやすい
交渉しやすい要素として、売主が何らかの理由で売却を急いでいる時です。
「自宅の買い替えで次の物件が決まっている」「海外転勤が決まっているので3月末までに売却したい」「家を相続したが相続税が払えないので処分したい」「離婚したので財産分与したい」などといったケースがあります。
売らなければならない期限が決まっていて、その期限が近づいていればいるほど、値引きの余地は大きくなります。不動産広告の「引き渡し時期」を見れば、そのヒントが隠れています。
「即引渡し可」となっていれば、既に退去しており、急いでる可能性もあると思います。
買い替えの際には、自宅の売却を前提条件として新居の購入契約を結んでいるケースもあります。自宅が売れなければ新居に移ることができないので、売主としては早く売りたいと考え、値引き交渉に応じてくれやすくなります。
売却理由などを不動産会社に聞いて見ると良いと思います。基本的には、個人情報に触れない範囲で答えてくれるはずです。
もう一つポイントがあります。その物件がいつから売られているかも重要になります。
物件の売却は、売主にとってストレスが溜まる作業です。何度も内覧者が来て、そのために対応しなければならないからです。
その物件が長い期間売りに出されたままだとすれば、売主は「いい加減に売りたい」と思っていると考えられます。そのため、値引き交渉が比較的しやすいと思います。
ただし、売りに出している期間中に、何度か価格を下げているのであれば、それ以上の値下げは難しいかもしれません。物件の価格が、「最初からその価格なのか」「何度か値下げした結果その価格になったのか」は確認する必要があるでしょう。
売主への要望はほどほどに
購入申込書を提出する際に価格だけではなく条件の要望も伝えます。この要望が、細かすぎて売主に嫌われてしまう場合があります。
売主が建物を利用する人はいないだろうと、引き渡し前に建物の解体をするつもりでいました。しかし、買主から「一部の壁だけ壊してくれ」「庭の一部の木を残してくれ」などと様々な細かい要望があり、売主は嫌気がさして、もうやめてしまった。
「屋根を直したが記録は残っていない」という売主に対して、買主が「いつ直したのか。直した履歴がなければ困る。詳しく調べてくれ」などとしつこく迫って、売主の機嫌を損ねてしまい、交渉は決裂してしまった。
このような例のように、必要以上に細かい買主という印象を与えてしまうと、売主は契約後のトラブルを懸念してしまいます。
売主と親しくなる必要はありませんが、価格交渉を有利に進めるためにも、可能な限り売主に嫌われないように注意しましょう。
まとめ
「物件の値下げ交渉は、購入を前提として行う」購入の意思がない交渉は先方にも失礼にあたります。売主の背景を知り、現金収入が欲しい時期を狙うことで、もしかしたら希望価格に近づけられることもあるかもしれません。
値下げ交渉は、やってみることが大切だと思います。本当に欲しい物件なら、きっとその熱意も売主に伝わると思います。