住宅を購入する際、住宅ローンを組んでマイホームを購入する人がほとんどだと思います。簡単に言ってしまえば、住宅ローンは非常に多額の借金になります。
最近の住宅ローンは「頭金ゼロ円」「毎月家賃並みの返済額」などのプランも存在しています。ですがそれらのプランを勘違いし後々になって身の丈以上のローンを組んでしまう場合も少なくありません。
今回は住宅ローンでの「知らないと損する、3つのやってはいけない」ことについて紹介していきたいと思います。
頭金ゼ0円は注意!
一つ目の注意して欲しいのは、「頭金ゼロ円でローンを組む」ことになります。
ひと昔前まで、住宅ローンを組むには頭金を払わなくてはなりませんでした。しかし近年、銀行間で住宅ローンの獲得競争が過熱した結果として頭金ゼロ円でも問題ないという銀行が増えてきています。
人によっては「賃貸で家賃を払い続けるのももったいない」と考え、「全額ローンを組んでマイホームを買ってしまう」と考える方も多いと思います。
しかし、頭金ゼロの住宅ローンを組むのはあまりオススメしません。
理由としては、万が一、途中で返済が困難になって家を売却しようと考えたとき、頭金がゼロの場合「家を売りたいのに売れない」という状況になってしまうリスクが大きいです。
上記の図で説明します。例えば4,000万円の新築マンションを頭金ゼロ円で購入した場合、資産価値はだいたい80%程度と考えられます。なぜ100%ではないかと言うと、新築は、不動産事業者の利益や宣伝広告費などの費用が上乗せされて価値が決まっています。
図のように2年経過後、ローンの返済が厳しくなって家を手放そうとした時は、購入時に3200万円の価値があったマンションですが、もちろん時間が経ったぶん値段が下がります。
ここでは資産価値は3000万円になったと仮定しましょう。一方、住宅ローンの残債は、一般的に考えると3800万円程度は残っていると考えられます。
この場合、差額の800万円を現金で用意できなければ「家を売りたくても売れず、返済することができない」という状況になります。
「いざとなったら家を売ればいい」と考える人もいますが、住宅ローンがあると売りたいと思えば売れるというものではありません。
住宅ローンの頭金は、できれば物件価格の2割は用意したいところです。どうしても足りないという人も、必ず1割は用意しましょう。
もし今貯蓄がないのであれば、住宅ローンを組むべきではないと私は考えます。購入時期送らせてでもしっかり頭金は払うという考えを持つことが大切です。
「年収の25%以内なら安全」ということではない
一般に住宅ローンは「返済額が年収の25%以内なら安心」という考えもあると聞きます。この考えでは、例えば年収500万円の人なら、125万円まで住宅ローンの返済に充てても OK という考えになります。月々10万円の返済を考えていいでしょう。
月々10万円なら「買っても大丈夫かな」と思ってしまうと思います。しかし、返済額が年収の25%以内なら安心という考えは一度捨てた方がいいかもしれません。
一見月々10万円なら返済も簡単だと考える方も多いと思います。ですが、年収500万円と仮定して住宅ローンが120万円と考えると「月々の保険」「生活費」子供がいる方は「教育費」などを考えると少々厳しい点が多いと思います。
このように、生活するためには様々な費用がかかってしまいます。
また、家族旅行や家電の買い替えなどの出費も考えなければなりません。そう考えると、年収の25%で返済する場合、無理なくやっていけるとは考えにくいです。
おそらく貯蓄はままならず、予想外の支出がかさむと年間収支は赤字になってしまうのではないかと考えられます。
このことを踏まえて、住宅ローンを組む際は、年間の住居費がどれくらいかかるかを冷静に計算して、家計が住宅ローンの負担に十分耐えられるかどうかを検討することが非常に重要だと考えます。
変動金利型100%でローンを組んではいけない
「金利が低いから変動金利型だけでローンを組む」ことはお勧めしません。「金利はまだまだ上がらないから、変動金利型がお得」と考える人も少なくありませんが、変動金利型はしくみが複雑でリスクが非常に大きいです。
変動金利の場合、金利が約束されているのは半年だけになります。しかし、金利が上昇しても、返済額は5年間据え置くというルールがあります。
変動金利は5年ごとに返済額の見直しがある場合がほとんどです。その時点の元金残高(未収利息があれば、その金額を加えたもの)、融資利率、残存期間により再計算し、新しいご返済額が決定されます。
利息額が増えても変わらないと、元金に充当される分が少なくなるので、ローン残高の減りが遅くなってしまいます。
この仕組みにより、定年間際になって「ローン残高が思ったよりも減っていなかった」と言う状況になってしまいます。
また変動金利だと、金利が低い分たくさん借りられてしまうというリスクがあります。
例えば35年ローンで、毎月返済額を約11万円とすると、全期間金利1.5%なら借りられる額は3600万円ですが、金利が0.625パーセントなら4100万円も借りられます。
「返せる額」考えずめいっぱい借りてしまえば、結局定年まで完済できず、老後に負債を引きずる可能性が非常に高くなってしまいます。
変動金利型は、利用するとしても全額ではなく、一部借りるまでした方が良いと思います。
まとめ
前置きでも話しましたが、住宅ローンは「多額の借金」になります。そのため、住宅ローンを組む際は「無理のない返済額」「計画な返済」「住宅ローン理解」を意識すると失敗するリスクも少なくなります。
「借りられる額」ではなく「確実に返せる額」を見極めたうえで借りないと、後々になって「こんなはずではなかった」と後悔してしまいます。
今回紹介した、やってはいけない三つの方法を頭の片隅にでも覚えていただけると幸いです。